自費出版日記
あれから20年
2015.01.14
阪神・淡路大震災から20年、1995年1月17日は忘れることのできない日だ。
その前夜、著者のご自宅に招かれてご馳走になっていたのだが、それが私にとって初めての自費出版の仕事だった。
著者は京都府庁を退職されたばかりで、現役時代に生協の機関紙に連載されていたものを一冊にまとめた本である。少しでも読みやすくしようと相談を重ねて出来上がったばかりの本は様々な季節の花に重ねて社会風刺をまじえた辛口エッセイで、『私本花の歳時記 風刺花伝』というタイトルをつけさせてもらった。
仕事ぶりを評価していただいたのがうれしく、あつかましくも日付が変わるころまでおじゃましてしまい、タクシーで家に帰りつくと着替えもせずにコタツで寝た。そして地震の激しい揺れに飛び起きたのだった。
それから20年、300冊を超える出版に携わってきたが、この衝撃的な出発が、いまも仕事の「原点」になっていると思う。(斉藤治)